【デザイナーズノート】アナログゲームのデジタル要素
剣に焦がれ、悪魔に囁かれた闘士よ。
白き夢の入口へようこそ。
この連載ではBakaFireのデザイナーズノートを通し、『ドリームテーゼ』の断片を幾つかお伝えします。
本日のテーマは 「アナログゲームになぜデジタルの要素を組み込むか」 です。
前提として『ドリームテーゼ』はコンテンツの一部をwebアプリで提供しています。しかし、全てをアプリにするならばデジタルゲームを作ればよいでしょう。これまた前提として、私はアナログゲームに価値を見いだしています(そちらは語ると長くなるので別の機会として)
重要なのは、それでもデジタルが有意義だと判断したのはどこかです。デジタルとアナログゲームの連携は、すでに様々な作品が模索していますが、使われているところはそれぞれ別物です。本作を通して、ひとつの参考例を考えてみましょう。
本作ではチュートリアル、ソロプレイ、音声作品性の3点に意義を見いだしました。それぞれお話しします。
チュートリアル

ルールブックを読むのも、ルール解説(インスト)を行うのも簡単ではありません。立派な技術です。だからこそ、技術を持たない誰もが遊べるよう工夫する取り組みはどんなアナログゲームでも有意義です。
これまでも拙作『惨劇RoopeR』では読み上げる手順を細かく示した「インストラクションガイド」を、『桜降る代に決闘を』ではデジタルの紙芝居形式である「動いて分かるルールガイド」を用意してきました。
『ドリームテーゼ』では、その取り組みを発展させ、専用のwebアプリを開発しました。
チュートリアルモード「はじまりの夢」を使えば、ルールブックは1ページ目を読み、2次元コードを読み取るだけでゲームを始められます。ルールブックの精読は必要ありません。
アプリでは悪魔の声に導かれながら、実際に4ラウンド分のゲームを行います。説明を受け、自分の手でコンポーネントを動かし、盤面が変化していきます。最初はよく分からないまま行っていた手順も、繰り返すうちに少しずつルールとして像を結んでいくでしょう。
この取り組みは動画でも有意義だと思います。しかし動画だと実際に盤面を操作しながら連動させるのが少し難しく、一時停止などの活用をプレイヤーに求めてしまいます。その欠点を補う面でwebアプリによるデジタルとの連携は有力な手段だと考えています。
ソロプレイ

本作には、Webアプリと連動したソロプレイモードが同梱されています。まずは遊んでいる光景をご覧ください。

これもまた、デジタルの活用が有意義と判断した箇所です。理由は、キャラクターの肉感と遊べるステージの分量を両立するためです。
実際、ボードゲームにおけるソロプレイの需要は高まり、様々な作品で取り組まれています。私はそれらに触れ、自分でも作る中で、それらの2点に限界を感じていました。
対戦ゲームのソロプレイでは「敵の行動」を実装する必要があります。
ここで敵の行動を単調にすると、キャラクター性の表現に限界が生まれます。しかし一方で敵に芳醇な行動パターンを与えると、今度は1種類の敵とだけ戦うモードに着地して、ボリュームに限界が生まれます。なぜなら両立させようとするとコンポーネントが膨大になり、ルールが膨れ上がり、作るのも遊ぶのも困難になるからです。
それらの課題を、ステージをwebアプリで提供すれば大きく緩和できると考えました。
追加コンポーネントを抑え、細かいルールをアプリの補足に逃がせます。そうなれば芳醇な行動パターンを持つ敵を数多く用意し、キャラクター性とボリュームを両立できるようになります。
さらに追加コンテンツとしてステージも追加できるというメリットもあります。本作はリリース時点で1本のボードゲームとして十分なボリュームのソロプレイがありますが、今後も追加コンテンツを通して楽しみ続けられるよう運営していく計画です。
音声作品性
本作は、あなた自身が悪魔に囁かれているような感覚にこだわったゲームです(※)。
それを実現するためにボードゲームとしてあらゆる面でこだわっているのは確かです。しかし直截なやり方もまた、使えるなら使わない理由はありません。
リリース時点ではルエとメミスといった2体のデモンだけに声があります。その上で、この先は皆様の応援とこの試みへのフィードバック次第というところではありますが、残るデモンたちの声も届けられるよう尽力していく次第です。応援いただければ嬉しい限りです。
※細かくは第1回の記事をご覧ください。
以上が、本作にとって有意義だと考えたデジタル要素です。ぜひそれぞれ触れてみて、お楽しみいただければ幸いです。そしてあなたがゲームを作っているならば、本作での扱い方が参考となればうれしい限りです。
